急速進行性腎炎症候群(RPGN)の治療 急速進行性腎炎症候群(RPGN)の治療

急速進行性腎炎症候群(RPGN)の治療
(エビデンスに基づく急速進行性腎炎症候群(RPGN)診療ガイドライン2014より)

治療アルゴリズム

  • 腎機能(血清クレアチニン濃度)、年齢、肺病変の有無、CRP濃度によってスコア化し、臨床的重症度をGradeⅠ~Ⅳの4段階に分類(表2)。Gradeと年齢、透析の有無によって治療法を選択する(表1、3)。
(図1)治療に関するアルゴリズム
*70歳以上では、ステロイドパルス療法を行わないなど、さらにもう1ランク治療を弱めた治療法も考慮される。
*専門施設では、年齢・重症度にこだわらず、十分に注意したうえで治療ランクを上げた治療法も考慮される。
そのほかの治療法(リツキシマブ療法、血漿交換療法、抗凝固療法、抗血小板療法、ST合剤治療)

RPGN:rapidly progressive glomerulonephritis
PSL:prednisolone
CY:cyclophosphamide
IVCY:intravenous cyclophosphamide
RTX:rituximab
表1 臨床重症度・年齢・透析の有無による治療法の選択
臨床重症度 70歳以上または透析例 70歳未満または非透析例
ⅠまたはⅡ A B
ⅢまたはⅣ B C
表2 臨床所見のスコア化による重症度分類
スコア 血清クレアチニン
(mg/dL)*
年齢(歳) 肺病変の有無 血清CRP
(mg/dL)*
0 [Cr] < 3 < 60 < 2.6
1 3 ≦ [Cr] < 6 60~69 2.6~10
2 6 ≦ [Cr] ≧ 70 > 10
3 透析療法
*初期治療時の測定値
臨床重症度 総スコア
GradeⅠ 0~2
GradeⅡ 3~5
GradeⅢ 6~7
GradeⅣ 8~9
表3 治療法
治療法 治療内容
A 経口副腎皮質ステロイド薬単独(PSL 0.6~1.0mg/kg/日)
B ステロイドパルス療法+後療法:経口副腎皮質ステロイド薬
(メチルプレドニゾロン500~1,000mg/日×3+後療法PSL 0.6~0.8mg/kg/日)
C ステロイドパルス療法+後療法:経口副腎皮質ステロイド薬+CY
(メチルプレドニゾロン500~1,000mg/日×3+後療法PSL 0.6~0.8mg/kg/日+CY25~100mg/日またはIVCY250~750mg/㎡/日/月)
表4 年齢と腎機能によるIVCY容量調節
年齢 血清Cr
1.7~3.4mg/dL
血清Cr
3.5~5.7mg/dL
60歳未満 15mg/kg/回 12.5mg/kg/回
60歳以上70歳未満 12.5mg/kg/回 10mg/kg/回
70歳以上 10mg/kg/回 7.5mg/kg/回
【CQ8】副腎皮質ステロイド薬単独治療による初期治療は、RPGNの腎予後および生命予後の改善のために推奨されるか?
(一部抜粋)
推奨グレードC1
ANCA陽性RPGNに対する初期治療として、中等量以上の経口または静注副腎皮質ステロイド薬単独療法は、腎予後・生命予後を改善する。しかし、免疫抑制薬との併用療法がより有効であるため、副腎皮質ステロイド薬単独療法は、免疫抑制薬の併用が好ましくない場合に、これを推奨する。
【CQ9】RPGN初期治療における副腎皮質ステロイド薬として、経口薬と静注パルス療法併用のどちらが、腎予後および生命予後の改善のために推奨されるか?
(一部抜粋)
推奨グレードC1
ANCA陽性RPGNにおいては、腎炎の進行が速く早期の効果を得たい場合、あるいは肺出血などの重篤な全身合併症を伴う場合に、静注ステロイドパルス療法への経口副腎皮質ステロイド薬の追加を考慮してもよい。
【CQ10】RPGNの初期治療として免疫抑制薬は腎機能予後および生命予後を改善するか?
(一部抜粋)
推奨グレードB
ANCA型RPGNの初期治療として免疫抑制薬は腎機能予後および生命予後を改善する。このためANCA型RPGNの初期治療として、副腎皮質ステロイド薬に加えて免疫抑制薬の併用を推奨する。
【CQ11】RPGNにシクロホスファミドを投与する場合、経口と静注のどちらが腎機能予後および生命予後を改善するか?
推奨グレードB
RPGNにシクロホスファミドを投与する場合、経口と静注で腎機能予後および生命予後に差を認めない。両治療法とも腎機能予後および生命予後を改善する。
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