ANCA関連血管炎にみられる全身症状としては、発熱や易疲労感、倦怠感、食欲減退、体重減少などがあげられます。一般内科を受診する患者さんでは、発熱があるにもかかわらず感染源がはっきりせず、抗生物質が効かないということが最初のポイントになります。発熱の原因としては悪性腫瘍や膠原病も考えられますが、それらの疑いが少なく感染のフォーカスがはっきりしない不明熱で、特に高齢者であればANCA関連血管炎を鑑別疾患のひとつにあげるようにします。
次のステップとしては、いかに早く専門医に送れるかががポイントになります。診断を付ける意味では、血管炎をたくさん扱っている施設に行かなくても、各科の専門医に紹介してみます。最初のうちは発熱以外の所見がなくて、悪性腫瘍などを疑って検査しているうちに、急速に腎臓が悪化してからANCA関連血管炎が診断されたというケースもあります。さらに腎障害が急速に進行して透析導入に至ってしまうという例もあるので、感染源がみつからない不明熱の場合にはANCA関連血管炎を鑑別に考え、腎臓やリウマチ関連の専門医に紹介します。また、皮膚症状が出現していれば皮膚科にコンサルトします。血管炎は皮膚に症状が出やすく、皮膚であればすぐに組織検査ができるので、早期診断に役立ちます。皮膚病変がきっかけとなり、内臓病変が見つかったという例もたくさんあります。