EGPA診療Q&A

Ⅱ-3-2.IVIG療法の実際

末梢神経障害に対するIVIG投与のタイミングと投与法は?

重症例へのIVIG初回投与は、全身ステロイドと免疫抑制剤を併用し、末梢血好酸球数が減少した時期に行う。軽症例ではステロイド、免疫抑制剤を十分に併用すれば、数ヶ月後以後でもIVIG療法の効果は得られる可能性がある。

重症の末梢神経障害を有するEGPA症例においてのIVIGの初回投与は全身ステロイドとできるだけ免疫抑制剤を併用し、末梢血好酸球数が減少した時期、すなわち治療開始後最低1ヶ月前後経過した時期に1回目のIVIG投与を行うのがよいと考えられます。IVIG投与を初期治療として、すなわち全身ステロイド投与前に投与を行うと効果はほとんど得られないため注意が必要です。ステロイド単剤より免疫抑制剤併用である方が、効果発現も早く、効果持続も長期間です。軽症の末梢神経障害を有する症例ではステロイド、免疫抑制剤を十分投与し数ヶ月後以後でもIVIGの効果は十分に得られます。

IVIG投与後、どれくらいで治療効果を発揮するか?

ステロイド単剤投与例ではIVIG投与後数週間~1ヶ月後、ステロイドに免疫抑制剤併用の場合は5日間の点滴投与中に効果が発現することもある。
また投与初日から効果が出現する例もある。

IVIGを投与する際の治療内容によって効果発現は異なります。ステロイド単剤で免疫抑制剤併用がない場合はIVIG投与後数週間~1ヶ月後くらいから徐々に効果を実感することが多いようです。ステロイドに免疫抑制剤併用の場合は、5日間の点滴投与中に効果が発現することがあります。

IVIG療法は高齢者や
罹病期間が長い患者でも効果があるか?

多発単神経炎例では、十分に効果が得られない患者もいる。

多発単神経炎については高齢者でリハビリが十分にできない症例や、筋萎縮著明な症例では十分に効果が得られないこともあります。EGPAの多発単神経炎に対するIVIG療法は神経炎に対する効果であって、リハビリを行わないと筋力増強とならないため、効果を実感できないと考えられます。
また、EGPAの心病変以外の心不全症状、つまり加齢や動脈硬化に伴う慢性の心不全症状については、IVIGの効果は確認できていません。

IVIG初回投与で効果がなかった場合、
再投与の意義はあるのか?

投与時の治療内容、全身状態を見直したうえで再投与する意義はある。NHO相模原病院の研究から、複数回投与により寛解導入の可能性が見込まれる。

初回投与で効果を認めなかった症例は投与時の治療内容、全身状態を見直す必要があります。つまり、ステロイド単剤でIVIGを施行していなかったか、治療開始1ヶ月前の超急性期に治療を行っていないか、また効果をどのように確認したのかなどです。IVIGの効果は患者さんが自覚している場合と自覚できていない場合がありますので、きちんとした神経の診察、問診を詳細に行い、わずかな変化がなかったかを確認する必要があります。投与後数ヶ月間の経過で全く改善がない場合は、ステロイド+免疫抑制剤を数ヶ月間投与し再度投与する意義はあります。IVIGは発症早期(治療初期)より少し慢性化した状態でも十分に効果発現が認められること、ステロイド、免疫抑制剤の十分な投与期間があることでこれらの薬剤の効果を高める機序があるからです。
NHO相模原病院の研究成果では初回IVIG開始時期から最終IVIGまでの期間(寛解導入までの期間)と制御性T細胞の変化に相関があることを確認しています14)(図F)。この結果から、初回IVIGで十分な効果が得られなくとも複数回投与を行うことで寛解導入が可能になる可能性を示しています。

IVIG再投与のタイミングは?

IVIG投与は2-3ヶ月毎に行うことで長期効果が持続する。なお、慢性期にステロイド、免疫抑制剤併用とともにIVIG療法を行うと、複数回投与を行わなくても寛解導入できる場合もある。

一般的にIVIGのモニタリングは血清中のIgGを測定することでわかります。多くの症例は投与後2-3ヶ月間でIgG値は治療前値に戻りますが、特に、免疫抑制剤併用例では、それ以降も効果が持続する可能性があります。
IVIGの再投与は、血管炎症状の回復の程度を見て2~3ヶ月間以上の間隔を空けて投与することで、長期的な効果が得られる可能性があります。
また治療早期、つまり治療開始1ヶ月前後でIVIGを初回で投与する場合は炎症による消耗も大きく*、2ヶ月前後で効果が消失する場合がありますので、重症例、比較的治療期間が短い症例では2-3ヶ月おきに投与します。
さらに慢性期にステロイド、免疫抑制剤併用下にてIVIG療法を行った症例では、IVIGの効果が6-12ヶ月持続することもありますので、複数回投与を行わなくても寛解導入ができる場合もあります。慢性期では心病変は6ヶ月、多発単神経炎は患者さんの運動能力の違いやリハビリの仕方にも影響されますが、おおよそ1年前後の効果持続があります。

*その理由は十分に証明できていませんが、NHO相模原病院の臨床研究の結果から、治療早期のステロイドが高用量である時期はIVIG投与後の制御性T細胞の増加が軽度、あるいは増加しないことが明らかとなっています15)。一つの仮説として治療早期は血液中にさまざまな炎症物質があり、投与されたグロブリンが炎症により消耗する可能性が推測されています。

IVIG再投与はどのような例で有効か?

1回目のIVIG投与で効果が認められれば、2回目以降の効果も認められる可能 性が高い。一方で、1回目の投与で効果がなくても、治療内容や投与時期を見 直すことで2回目以降の投与が有効となる可能性がある。

1回目に臨床的に効果が認められた症例では、2回目以降の効果も認められる可能性が高いです。1回目で臨床的効果が高かった症例では、2回目以降、神経炎の改善とともにその改善度は緩やかになります。一方で1回のIVIG投与で十分に臨床的効果が得られなかった症例においても、ステロイド、免疫抑制剤を十分に投与する期間を経て再投与することで有効な場合がありますので、1回投与して効果がないと思われる症例も治療内容や時期を見直すと2回目以降有効である可能性があります。

【用法・用量】(抜粋)

6)チャーグ・ストラウス症候群又はアレルギー性肉芽腫性血管炎における神経障害の改善
通常、1日にスルホ化人免疫グロブリンG400mg(8mL)/kg体重を5日間点滴静注する。


〈用法・用量に関連する使用上の注意〉(抜粋)

(4)チャーグ・ストラウス症候群又はアレルギー性肉芽腫性血管炎の神経障害の治療において、本剤投与後4週間は再投与を行わないこと(4週間以内に再投与した場合の有効性及び安全性は検討されていない)。


【使用上の注意】(抜粋)
2.重要な基本的注意

(8)チャーグ・ストラウス症候群又はアレルギー性肉芽腫性血管炎の神経障害において、本剤投与後に明らかな臨床症状の悪化や新たな神経症状の発現等が認められた場合には、治療上の有益性と危険性を十分に考慮した上で、本剤の再投与を判断すること(本剤を再投与した場合の有効性及び安全性は確立していない)。


14)Tsurikisawa N, et al: J Rheumatol 2012; 39(5): 1019-1025.
15)Tsurikisawa N, et al: Clin Translational Allergy 2014; 4: 38.
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