Vol.5 神経内科-呼吸器内科編
Chapter. 1 EGPAの患者像と治療について

Q. 診療しているEGPA患者さんの臨床的特徴を教えてください。

釣木澤先生

 EGPAの発症に際しては、全身に多彩な臓器病変があらわれます。EGPAの症状はさまざまですが、治療を開始すると、多くの血管炎の症状は落ち着き、残った一部の血管炎症状が再燃を繰り返すことがあります。また再燃を繰り返す場合は、心臓と消化管、末梢神経障害が多いという印象があります。
服部先生
 神経内科で診ているEGPAの患者さんの場合も、釣木澤先生が指摘されたようにさまざまなパターンがみられます。例えば痺れや運動障害が急激に出る人がいるかと思えば、ゆっくりと出る人もいるので、症状を固定的に決めつけてしまうと見逃してしまうことがでてくると思います。
また、症状が急に出る人では関節の腫れや痛みを訴えるという特徴がみられ、そのために整形外科を受診されることが多いようです。しかし、徐々に痺れや歩きにくさが前面に出てくると神経内科を受診されるようになります。

Q. 診断・治療におけるポイントは何でしょうか?

服部先生

 運動機能ということでは、階段をスムーズに昇り降りできるかという質問をよくします。特に降りる方が難しいようですが、これは抹消神経が障害されている人に多くみられます。医師によっては「気のせいでしょう」とか「年のせいではないですか」と指摘する方もいますが、患者さんにとっては深刻な日常生活上の問題なわけで、気のせいとして聞き流してしまわず重要なポイントだと認識すべきだと思います。
釣木澤先生
 既にステロイドを服用している方に血管炎が発症したときは、初期の状況がとてもわかりづらく、見逃す可能性があるので要注意です。これはステロイドによって血管炎の症状が抑えられていることによるもので、神経症状にしても出たり消えたりするため、本当の末梢神経障害かどうかわかりづらく、しばらく経過を見るしかありません。このように初期の状態に薬物療法が行われた方では見逃されているというケースはあると思います。EGPAの血管炎発症前の喘息期では喘息が重症であることが多く、すでに経口ステロイドが投与されていたり、症例によっては挿管歴があるなど、喘息の管理に難渋する時期があります。ステロイドの内服の減量ができず、しばらくして喘息が落ち着いた後に血管炎を発症した時には、好酸球数やANCAも指標にならないことも多いため、その時点での診断は非常に難しくなります。
服部先生
 EGPAの治療は、各診療科の先生方の考え方が微妙に違うことも課題になっています。例えば腎臓内科の先生はANCAの値など検査所見を参考にしますが、我々の場合は症状を優先することが多く、症状が出てきた時は治療を速やかに行うタイミングだと判断します。このように診療科によって病気の捉え方に違いがありますので、膠原病内科や腎臓内科、神経内科など複数の科で診ているようなケースでは評価の観点がしばしば異なります。そのために適切な治療のタイミングを逸してしまうこともありますから、血管炎の診療に詳しいエキスパートの先生を育成していくことが重要だと思います。
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