Vol.3アレルギー科-呼吸器科編 in広島
EGPA診療の留意点について

Q. EGPA診療に際し、特にクリニックにおいて留意すべき点についてお聞かせください。

保澤先生
 EGPA患者さんというのは、喘息の最重症患者さんでもあり、また経口ステロイドや場合によっては免疫抑制剤の投与も受けていることから、感染への抵抗性が低下しています。感染をきっかけに血管炎が再燃することがありますので、感染症への対策は非常に重要です。具体的には、手洗いやマスク着用の励行、インフルエンザの流行時期には人混みを避けること、予防注射の接種などを呼びかけています。どれも当たり前のことですが、順守すべき大事な基本事項です。なお、感染症状については遷延化や重症化する前に、早め早めに対策を講じることがポイントです。
 また、EGPAが全身性の疾患であることから、やはり再燃に早期に対応するため、全身症状の変化を把握しておくことも重要です。例えば、熱っぽい感じが続く、体重が減ってくる、食欲が落ちたなどの訴えを患者さんから早期に聴取するよう努めます。その際に血液検査をして、好酸球の増加がみられたら経口ステロイドの増量などを行いますが、これも早めの対応がポイントです。大きな病院などであれば、外来診療日が限られた施設も少なくありませんが、当院のようなクリニックでは外来診療は毎日行っていますので、患者さんの変化に早く気づき、迅速に対応することが可能です。この点は第一線で診療しているクリニックの強みといえ、入院設備を有しない医療施設がEGPAを外来で治療・管理していくには、こうした対応のタイミングを逸しないことが最も重要です。

Q. 末梢神経障害の聴取のしかたについてお聞かせください。

保澤先生
 EGPAでは、程度の差こそあれ末梢神経障害が必発なので、これをいかに早期に発見して血管炎の程度を評価し、その後の対応につなげるかも大事な点です。当院のEGPA患者さんの末梢神経障害は、運動機能障害よりも感覚障害が現れる方のほうが多いです。足の裏などがじんわりとしびれる、いわゆる“じんじん感”が強いようで、これはなかなか除去することができずに残存します。
 末梢神経障害については日常の細かな動作、例えば服のボタンの掛け締め、ペットボトルの蓋の開け閉めなどができるかどうかを聴取しながら確認していきます。年配者では、こうした動作がうまくできないことを当たり前だと捉え、あえて医療者には話さない方も多くみられます。そのため、こうしたことをなるべく具体的な動作を例に取って、医療者の側から積極的に問いかけることが大切です。
 末梢神経障害は、発熱や食欲不振など明らかな自覚症状を伴わず、ちょっとした筋肉痛やしびれ、足が上がりづらくなったなど、わずかな異変が発端であるケースも含みますので、それらをうまく導き出せるような質問の工夫も大事です。私は足底のしびれを確認する際には、親しみを込めて、「足の裏の“じんじん感”はどうですか?」などと聞いています。他に、皮膚症状についても、患者さんの側からはなかなかお話しされないので、こちらから尋ねるようにしています。なお、こうした神経症状や皮膚症状があると、患者さんは最初に整形外科や皮膚科を受診されることが往々にしてあります。EGPAの早期発見・治療のためにも、プライマリケア医の方々は、これらの症状以外の合併症状の有無などにも気を配っていただければと思います。
 EGPAが重症化すれば、誰の目にも明らかに患者さんの異変が分かります。そうなる前に、末梢神経障害のような“見えない異変”というサインをいかに拾い上げることができるかが大事であり、患者さんの予後も左右します。このことは、EGPA診療に際し、繰り返し強調しておきたい点であると考えます。

Q. EGPA患者さんのフォローアップについてお聞かせください。

保澤先生
 EGPA患者さんには、何か体調に異変があった時はもちろん、定期的に血液、尿などの検査を通して、好酸球だけでなく腎臓や消化器などの臓器異常の有無をチェックしています。また、すでにEGPAを発症された方だけでなく、未発症の患者さんへの啓発やEGPA早期発見の手助けのためにも、EGPAの可能性のある症状の有無を確認する問診票や、重症喘息にはEGPAのような血管炎が潜んでいる場合もあることを注意喚起するような患者教育用資材などは必要だと考えます。
EGPA診療の留意点
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