Vol.1 血液・免疫科-呼吸器内科編 in仙台

Q. EGPAに対する基本的な治療法についてお聞かせください。

石井先生
 EGPAによらずANCA関連血管炎の寛解導入療法は、ステロイドと免疫抑制剤による治療です。免疫抑制剤のなかでも頻用されるのはシクロホスファミドで、現在は静注療法が主流です。重症例では最初からステロイドパルス療法(methylprednisolone 0.5~1.0 g/日)×3日間、あるいはプレドニゾロン(PSL)0.6~1.0 mg/kg/日(40~60 mg/日)の経口投与、というのが基本的な治療です。(最近はANCA関連血管炎に対してリツキシマブの有効性が示されています。)
 また感染症などのリスクを低減させるためにも、免疫抑制剤を上手に使うことにより、ステロイドを早期に減量させるのが現在の治療ストラテジーです。最近では欧米を中心に、ANCA関連以外の各種膠原病も含めて、ステロイドの迅速な減量を推奨しています。ただ、日本と欧米のANCA関連血管炎を比較すると病態なども異なりますし、あまり早くから減量してしまうと再発の恐れがあるので、ステロイドの減量を含めたわが国の治療方針についてはさらに検討していく必要があると思います。

Q. IVIG療法とその適応などについてお聞かせください。

石井先生
 EGPA の8~9割にみられる末梢神経障害に対しては、IVIG療法(乾燥スルホ化人免疫グロブリンによる大量静注療法)の有効性が認められています。特に運動障害は、あまり処置を遅らせると麻痺が永続的に残ってしまうので、積極的な治療アプローチを考えるなかで、IVIG療法は有効な手立ての一つと考えられます。
 なお、初期治療は非常に重要で、予後を大きく決定します。そのため当科では、麻痺などの運動障害があれば、数日以内にステロイドパルス療法を開始します。すると、完全とはいえないまでも麻痺の改善がみられる症例も多数存在するかと思います。しびれなどの感覚障害がある方にステロイドを投与すると、なまじ感覚が復活するために、かえってしびれや痛みを強く訴えることがありますが、こうした場合にもIVIG療法が奏効したケースを多数経験しています。また、寛解導入が遅れるなどして麻痺やしびれが固定化してしまったと思われる人たちには、以前は鎮痛剤やリハビリなどの対症療法で我慢してもらうしかなかったのですが、そういった、諦めてしまっていた症例でも、IVIG療法を行うことで効果が認められる例もありますので、EGPAの診療に当たる医師の方々に対してもそこは強調したい点といえます。
 IVIG療法を導入するタイミングについては、ステロイドの治療効果をみながら判断しています。患者さんによって症状の出方もさまざまなので一概にはいえませんが、だいたい4週間程たっても神経症状をはじめとした症状の改善が乏しい場合には、同療法を導入するケースが多いです。
 またIVIG療法に関しては初回投与で少しでも効果が認められた症例に対しては再投与することも当科においてはあり、さらなる改善がみられる場合もあります。
 末梢神経障害の痛みがある方は、外来で診ていても本当にお気の毒です。そのため、早期の寛解導入療法やIVIG療法の施行で、症状が固定化する前に取り除いてあげることはとても重要と考えます。
 なお、IVIG療法の初回は、患者さんの容体もすこぶる悪いこともあり、どうしても入院治療の中での投与となりますが、神経症状が再発し再投与を希望される時などはあらためて入院はしていただかずに、最近は患者さんの状態をみながら外来にて行うことがあります。

〈用法・用量に関連する使用上の注意〉(抜粋)
(4) チャーグ・ストラウス症候群又はアレルギー性肉芽腫性血管炎の神経障害の治療において、本剤投与後4週間は再投与を行わないこと(4週間以内に再投与した場合の有効性及び安全性は検討されていない)。

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