EGPA Clinical Message
免疫グロブリン(IVIG)製剤の投与
本例は、ステロイド投与によって好酸球は40/μLへ低下し、心機能の改善も見られましたが、末梢神経症状は悪化する状況でした。この時点でステロイドパルスもしていますので総投与量としては1ヶ月の使用量と同じくらい投与していますが、治療開始3日時点でも神経症状が悪化してくる状況でした。とくに末梢神経症状は他の症状と違って、一度進行すると戻らないことが多いため、早い段階での対処が必要と考え治療開始10日目よりIVIG投与を開始しました。IVIGを投与するまで、末梢神経障害が徐々に進行して足も背屈ができない起立困難な状態でしたが、IVIG療法により少なくとも進行は見られず徐々に回復が認められました。

Day1-14  :mPSL 60mg/日、以降漸減
Day10-15  :IVIG 15g/日 5日間
Day21以降 :約2週間毎 IVCY 250-300mg×6
Day12に施行した心臓超音波検査にてEF40%、その後状態安定し
Day20に一般床に転床となった。
Day31にてEF58%まで回復がみられた。
【用法・用量】
<効能・効果に関連する使用上の注意>(抜粋)
(3)チャーグ・ストラウス症候群又はアレルギー性肉芽腫性血管炎の神経障害の治療に用いる場合は、ステロイド剤による適切な治療(原則として、副腎皮質ステロイドをプレドニゾロン換算で40mg/日を4週間以上投与)によっても十分な効果の得られない患者を対象とすること。
患者さんの現状と今後
ステロイド加療を継続し、リハビリに伴い末梢神経症状は徐々に回復し、現在は杖なしで歩行可能となりました。寛解が維持され、心臓の状態も改善しましたので、IVIG療法後はシクロホスファミドを使用し、本報告時現在、ステロイドも7mg/日まで減量でき、外来通院を継続しています。
今後、神経症状の再燃も考えられますが、多くの場合症状が悪化する前には好酸球数の増加が見られることから、注意深く観察して治療の強化(IVIG再投与など)が遅れないようにすることが大事です。
また、ある程度長く治療しているときというのはステロイドの影響などによる感染にも注意が必要です。ステロイドの用量も大事ですが、どれくらい長く服用しているかということも重要です。
血液検査で何らかの異常が見られれば診療の間隔を狭めて観察することも必要だと思います。
【用法・用量】
<用法・用量に関連する使用上の注意>(抜粋)
(4)チャーグ・ストラウス症候群又はアレルギー性肉芽腫性血管炎の神経障害の治療において、本剤投与後4週間は再投与を行わないこと(4週間以内に再投与した場合の有効性及び安全性は検討されていない)。
【使用上の注意】(抜粋)
2.重要な基本的注意
(8)チャーグ・ストラウス症候群又はアレルギー性肉芽腫性血管炎の神経障害において、本剤投与後に明らかな臨床症状の悪化や新たな神経症状の発現等が認められた場合には、治療上の有益性と危険性を十分に考慮した上で、本剤の再投与を判断すること(本剤を再投与した場合の有効性及び安全性は確立していない)。
EGPAの早期診断、早期治療のポイント
EGPAでは神経症状を発症することが多いことから、好酸球数の増加が認められる場合には、まず末梢神経障害が見られるかどうかを把握することが大事です。1,500/μL以上の好酸球増多を認めた場合、患者さんの訴えが無くても放置せず、EGPAの存在を疑って診察することが大切です。
EGPA診療経験のない先生にとって、EGPAの診断は非常に難しいと思います。好酸球や心筋炎、末梢神経症状などが見られた際には、膠原病科がある施設であれば早めにコンサルトしていただくことが重要だと思いますし、それが患者さんの長期的な予後を改善することに繋がります。
岡田正人先生 略歴
1989年 横須賀海軍病院 インターン
1990年 自治医科大学 内科 レジデント
1991年 米ベス・イスラエル メディカルセンター 内科レジデント
1994年 米イェール大学 リウマチ膠原病内科 および 臨床免疫科 フェロー
1996年 米イェール大学 リウマチ膠原病内科 助手
1997年 仏パリ・アメリカン・ホスピタル セクションチーフ
2006年 聖路加国際病院 Immuno-Rheumatology Center
米国リウマチ膠原病内科専門医、米国アレルギー臨床免疫科専門医(成人、小児)、
日本リウマチ学会専門医、指導医など。
Yale Markey‘s Physician Scientist Award (イェール大学)受賞、
米国リウマチ学会 Senior Rheumatology Scholar Award受賞。
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