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Ⅰ-2.EGPA(CSS)の重症度判定と治療計画の立て方について

予後不良因子にはどのようなものがあるか?

Guillevinらは、EGPAの予後不良因子(Five-Factor Score:FFS2009)として、①重症の心病変、②重症の消化管病変、③Cr>150μmol/Lの腎不全、④高齢発症(65歳以上)、⑤副鼻腔炎がない、の5項目を挙げており、FFS≧2の症例では特に予後不良である。

1996年にGuillevinらは①心筋炎や心不全を併発する重症の心病変がある、②重症の消化管病変がある、③中枢神経病変がある、④Cr>140μmol/Lの腎不全がある、⑤蛋白尿(>1g/day)の5項目を予後不良因子としたFive-Factor Score(FFS)として提唱し、そのうち2項目以上陽性であると、生命予後が不良であると報告しています6)。しかし、この報告はEGPA以外の血管炎も含まれており、その内訳はEGPA84症例、顕微鏡的多発血管炎+結節性動脈周囲炎258症例とEGPAは全体の1/4程度に留まっていること、EGPAでは腎不全や蛋白尿を認める腎病変を呈する症例は比較的少ないことから、通常の診療では応用しにくい点がありました。
その後、EGPAの症例が増加し、Guillevinらは2011年にEGPA230症例を集積し、再解析した結果、FFS2009を報告しています7)。FFS2009は①重症の心病変がある、②重症の消化管病変がある、③Cr>150μmol/Lの腎不全がある、とFFS1996と同様の項目に加え④高齢発症(65歳以上)である、⑤副鼻腔炎がない、という項目が新規に挙げられています。このFFS2009はEGPAの重症度を反映した日常診療に有用な基準と考えられます。EGPAはMPAやGPAと比較して、かつては比較的予後良好と考えられてきましたが、FFS2009の生命予後ではEGPAはMPAやGPAと同様に、特にFFS≧2の症例では予後不良であるということもわかってきました7)。診断時に重症の心病変がある、重症の消化管病変がある、Cr>150μmol/Lの腎不全があることが明らかになっている症例については、ステロイド治療に加え、早期の免疫抑制剤導入を検討する必要があります。

6)Guillevin, et al: Medicine 1996; 75(1): 17-28.
7)Guillevin, et al: Medicine 2011; 90(1): 19-27.
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